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ポッドキャスト入門

ASMR的な声の録り方:聴き心地のいい音声コンテンツを作るマイク設定

著者声景編集部·

YouTubeにおけるASMR動画の総再生回数は、2023年時点で900億回を超えていると言われています。「囁き声」「タッピング音」「紙をめくる音」——これほど多くの人が「心地よい音」を求めているという事実は、音声コンテンツ制作者にとって重要なヒントを含んでいます。

聴き心地のよい声の録り方は、必ずしも高価な機材を揃えることではありません。マイクの設定、収録環境、話し方の調整という三つの要素を組み合わせることで、リスナーが「耳に馴染む」と感じる音声コンテンツを作ることができます。

ASMR的な「聴き心地」とは何か

ASMRの本質は「予測可能な心地よさ」にあります。突然の大音量がなく、耳への刺激が安定していて、リスナーが緊張しながら聴かなくていい状態——これが聴き心地のよい音声の正体です。

一般的なポッドキャストと比べたとき、ASMR的なコンテンツの特徴として挙げられるのが「近接感」です。マイクと口の距離が近いことで生まれる息遣いや、低音の豊かさが親密な空間を作り出します。

音量の安定性も重要な要素です。声が大きくなったり小さくなったりする変動幅を最小限に抑えることで、リスナーが音量調整に意識を割かなくてよくなります。コンプレッサーやリミッターの適切な設定が、この安定性を技術的に実現します。

もう一つの特徴は「背景ノイズの管理」です。完全な無音より、一定の環境音が低レベルで存在する状態の方が、人の脳はリラックスしやすいとされています。白色雑音や雨音を-30dBほどで薄く敷くと、かえって聴き心地が向上することがあります。

マイク選びと基本設定:予算別のアプローチ

マイクはコンデンサーマイクとダイナミックマイクの二種類に大別されます。ASMR的な聴き心地を追求するなら、一般的にはコンデンサーマイクが向いています。感度が高く、息遣いや細かなニュアンスを拾いやすいからです。

予算1万円台では、Audio-Technica AT2020やBlue Yetiが定番です。いずれもUSB接続で手軽に使え、コンデンサーマイクならではの豊かな音質を手に入れられます。

予算3〜5万円台になると、Rode NT1-AやShure SM7Bの選択肢が広がります。SM7Bはダイナミックマイクですが、マイクプリアンプとの組み合わせで深みのある音が録れ、多くのプロの音声配信でも使われています。

マイクの設定で最初に調整するのはゲイン(入力音量)です。音割れなく、かつ最大音量が-6dBあたりに収まる設定が目安です。カーディオイドやスーパーカーディオイドの指向性パターンを選び、口元の正面からやや下向きにマイクを向けることで、歯擦音(シャリシャリした「サ」行の音)を和らげられます。

収録環境の作り方:反響を消して声を際立たせる

いくら良いマイクを使っても、収録環境が整っていなければ音質は向上しません。最大の敵は「反響(残響)」です。部屋の壁や天井で音が反射し、録音に混ざり込むことで「風呂場で録ったような」こもった音になります。

最も手軽な吸音対策は「布」です。クローゼットの中に衣類を並べた状態で収録する、布団やカーテンを周りに引き寄せるだけで残響は大幅に減ります。吸音パネルを購入する前に試す価値があります。

デスク収録の場合は、マイクの後ろ側(指向性の死角)に吸音材または折り畳んだ毛布を置くと効果的です。これにより背面からの反射音がマイクに回り込むのを防げます。

ポップフィルターはポップノイズ(「パ行」「バ行」での破裂音)を防ぐための必需品です。500円〜2,000円程度のものでも十分な効果があります。マイクの10センチほど手前に設置しましょう。

話し方と編集:録音後のひと手間で聴き心地が変わる

機材と環境が整ったら、話し方のコントロールが最後の鍵です。ASMR的な聴き心地を生む話し方のポイントは「息の使い方」にあります。

文の最後に向かって自然に音量を落とすこと、急がずゆっくりとしたペースで話すこと、マイクから一定の距離を保ちながら話すこと——これらを意識するだけで、録音された声の印象は大きく変わります。

編集フェーズでは、DAW(デジタルオーディオワークステーション)やAudacityで三つの処理が特に効果的です。まずEQで100Hz以下の低音をカットしてこもりを取り除き、3〜5kHzをほんの少し持ち上げて声の明瞭度を高めます。次にコンプレッサーで音量の山谷を均します。最後にデエッサーで歯擦音を抑えると、耳への刺激が和らぎます。

無料で使えるVSTプラグイン「TDR Nova」や「Waves Free」を活用すれば、プロレベルの音声処理がコストをかけずに実現できます。

声景編集部の見解

声景は「声の質感が思考と感情に与える影響」に注目しています。聴き心地のよい音声は、話す側の自己開示を促す効果もあります。ASMRの技法を学ぶことは、音声配信のクオリティを上げるだけでなく、声で考えを録る行為そのものを心地よくする手段でもあります。


声景(Koekei)は、録音しながらAIがリアルタイムで「問いのカード」を差し込むジャーナリングツールです。波の音が入ったら「この景色を見てどう感じましたか?」、沈黙が続いたら「今、何を考えていますか?」——声と映像から文脈を読んで、思考を深める問いを返してくれます。現在β版のウェイトリストを受け付けています。

まとめ

ASMR的な聴き心地の良い音声を作るには、マイクの設定、収録環境の吸音対策、話し方のコントロール、そして編集処理の四つを組み合わせることが効果的です。高価な機材より、まず環境整備と設定の最適化から始めることで、今持っているマイクの性能を最大限に引き出せます。

音声ジャーナリングを始めてみたい方はこちら → https://koekei.com

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